信じあえる仲間

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私は麻酔科医。
今日の担当した患者さんはBMIが32の65歳以上の女性。
睡眠時無呼吸症候群で夜間はCPAPと言って陽圧かける機械を使って夜は寝ておられるような方。
高齢の女性には珍しい扁桃摘出術。

(後日はめ込んだ別の病院の写真です。この病院で統計の相談に乗って下さったのもとても親切な耳鼻科の先生でした。)

肥満で首が曲がりにくいという申し送り。
私たちは気管内挿管と言って、手術中に使う人工呼吸用の管を入れて麻酔をします。その時に首が曲がりにくいのはリスクファクター。
お部屋に入って来られるなりいや~な予感がした。
首が短くて、これで首が曲がらなければしんどいなって。

実際にしんどくて、私が信頼しているスタッフの麻酔科の先生が、枕の位置を変えたり、ベッドをヘッドアップにしてくれたりと私のやりやすいように黙ってサポートしてくれたから、マスク換気は問題なくクリア。
でも実際喉頭鏡をかけて挿管をしようとしたら「???」何も見えない。
スタッフの先生が私の様子を見てさっとエアウェイスコープを用意してくれた。
舌が大きすぎて舌根を超えられない。不細工だけど用手的に舌根を超えさせて見えた風景は見たことのないくらい狭い気道だった。それでも、上手にアシストして下さったから、何とか入れることができてやれやれ・・。

これは今度挿管チューブを抜くときが危ない。気道が少しでも腫れたり、出血があるとふさがってしまう。
私は普段は余程のことがない限り、手術前の術者に不安がらせるようなことは言わないのだけど、今日は私の麻酔科人生の中でも極めて危ないと思ったから声をかけた。

手術は無事に終わりつつあり、私は思いつく限り、リスクを減らすように麻酔をかけて着陸態勢に入っていた。覚ますときにはスタッフの先生を呼んで、耳鼻科医ももう一人来てもらって最悪気管切開ができるようにして抜管しようと・・

術者の先生が、「ICUに入れて時間をおいてから抜管するのはどうだろうか?」と言い出した。私は即座に「そうしたほうがいい。スタッフの先生に私からそう言います。」
予定外のICU入室だから、いろいろあっただろうけど、スタッフの麻酔科の先生も、私が状況を説明すると、すぐ納得して下さってICUに交渉に行って下さった。ICUは快く、そんな大変な人が病棟に帰って、何かあったら大変だからこちらに来てくれてよかったと言って下さって。手を合わせて感謝しました。

何より、術者の先生が、「中江先生が普段言わないことを言ったから、そうしようと思った。」と言って下さって。

扁桃摘出術は、麻酔科医的には特にリスクの高い手術。麻酔科医なら怖い目に遭った人もいるだろうし、大変な症例が語り継がれている病院もある。

私がこのブログを書いている今ごろはまだ、患者さんはICUの中。一晩たてば腫れも落ち着くし、少なくとも出血は止まる。患者さんにとってベストな条件で抜管できる。

いつもは甘えが出たり・・・も仕方ないけれど、ここ一番の時に心を一つにできるそんな「信じあえる仲間」と仕事をするのが何より貴重な時間。
今日もお役に立てて本当に良かった。手を合わせて感謝!

 

 

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